金属アレルギーのある方は、歯科治療において素材などに数々の制約が出てきてしまいます。歯科で使用する材料の多くは金属製だからです。入れ歯も例外ではなく、通常は金属の留め具を使用しています。しかし、ノンスクラプデンチャーというタイプでは、金属を使用していませんので、金属アレルギーの方も使用可能です。本記事では金属アレルギーとノンスクラプデンチャーについて解説しています。
金属アレルギーとは、汗や唾液で金属が溶けて「金属イオン」となることで、身体が異物と判断をして、アレルギー反応を起こしてしまうことです。歯科では被せ物や詰め物に金属が使われることも多く、注意する必要があります。主な症状は以下のとおりです。
これは、金属が触れることで、その部分にアレルギー反応が起きるものです。お口のなかでは、被せ物や詰め物の金属が溶けて口腔内に広がり、口内炎や舌炎、歯肉炎などを引き起こします。「よく口内炎ができる」などの症状がある方は、一度金属アレルギーのテストを受けてみてください。
全身に炎症を起こすタイプんも場合、お口のなかで溶け出た金属イオンが血流に乗って全身に広がることで発症します。このタイプでは、お口の周り、手足や背中など、離れた部位でも湿疹や炎症が起こる場合があります。また、皮膚症状だけではなく、頭痛やめまい、肩こりなどを引き起こすこともあります。自分には金属アレルギーがない、と思っている方でも少しずつ金属イオンが体内に蓄積され、10年以上経過してから症状が出ることもあるので、注意が必要です。
ノンクラスプデンチャーは、金属の止め具がないため、金属アレルギーの心配がなく、金属アレルギーがある方にもおすすめの入れ歯です。薄く軽く、しなやかでありながら非常に丈夫で快適な使用感を提供します。見た目も自然で美しく、審美的に優れています。特徴としては、金属バネがなく目立たない、丈夫で割れにくい、無味無臭でアレルギー反応が少ない、従来の入れ歯の半分の重さ、食べ物がつきにくいなどがあります。
金属アレルギーが心配な方は、再現性が高く、簡便な方法として、48時間閉鎖型パッチテストが便利です。これは、試薬の付いたテープを背中に2日間貼り、2日後それをはがし、除去後、皮膚に現れた反応を2日目、3日目、7日目の3回を国際基準(ICDRG)に基づいて判定する方法です。検査項目は日本人に多いアレルゲンを選択して検査をしています。そのほかの方法としては、血液検査などもあります。
*ナイロンやポリエステルのパッチテストは、一般的ではないようですので、触れておりません。
ご紹介してきたように、金属の留め具を使用していないため、金属アレルギーがある方でもノンスクラプデンチャーは使用できます。また、留め具が目立たないため、見た目もいればと気づかれにくいという特徴があります。金属アレルギーが心配な方は、医療機関でテストを受けて、信頼できる歯科クリニックで治療を受けましょう。