ノンスクラプデンチャーをつけている方のなかには「寝るときに入れ歯はどうすればよいのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。結論を言えば、どうすればよいかはケースバイケースで、状況により変わってきます。以下にどのようなケースが考えられるかご紹介していきましょう。
基本的に残存歯が多い場合には、寝るときに外すケースも多いようです。残存歯が多ければ入れ歯を外しても歯ぎしりなどでお口の中にダメージを与える心配が少ないと考えられるからです。その基本を踏まえて、外した方が良いケースには以下のようなものもあります。
ノンクラスプデンチャーを寝る時に外す理由には、衛生面の問題があります。寝ている間は唾液が減少し、口内の汚れが洗い流されにくくなり、乾燥によって細菌が繁殖しやすくなります。入れ歯と歯茎の間に汚れや菌が溜まると、炎症や腫れが起こり、歯周病の原因になることもあります。特に高齢者は口を開けて寝ることが多く、口内が乾燥しやすいため、外して寝ることで衛生環境が保たれるでしょう。
通常の入れ歯でも同様ですが、ノンクラスプデンチャーを付けたまま寝ると、誤飲の危険があります。クラスプ(金属の留め具)がないため外れやすく、経年劣化で固定が弱まるとさらにリスクが増すこともあります。
残存歯が少ない場合には、寝るときにノンクラスプデンチャーを外したほうが良いでしょう。外した方が良いケースの理由とは反対に、残存歯が少ないと歯ぎしりなどでお口の中にダメージを与える可能性があるからです。そのほかの理由は以下のようなものです。
ノンクラスプデンチャーを装着して寝ることで残存歯への負担を防げます。ノンクラスプデンチャーは最低3〜4本の歯が必要ですが、残った歯が少ないほど負担が増し、歯がグラつく可能性があります。入れ歯を装着することで歯の位置を固定し、寝ている間の負担を軽減できます。特に高齢者は歯が動きやすいため、入れ歯で守るメリットが大きいです。
高齢者は入れ歯を外すと平衡感覚を失い、転倒のリスクが高まります。夜中にトイレに行く際に平衡感覚を失い、転んだり腰を抜かすことがあります。軽い転倒でも骨折することがあるため、入れ歯をつけておいたほうが安全です。
ノンスクラプデンチャーの寝るときの対応をご紹介してきました。ただ、これらの対応は原則的なものであり、実際は個々の患者さんで異なることもあります。どうすればよいか迷った場合には、必ず担当の歯科医師に相談してください。