ノンクラスプデンチャーとは、部分入れ歯のうち、歯を固定する金属製のバネを目立たない素材を用いて作成したものです。周囲から分かりづらいというメリットがあるのですが、一方では寿命が短いというデメリットも指摘されています。
では、ノンクラスプデンチャーの寿命はどれくらいが一般的なのでしょうか。素材や使用方法によって違いはありますが、一般的には装着してから2年から5年程度と言われています。以下にその理由を解説していきます。
まず、材料自体が寿命の短いものを使用していることが理由として挙げられます。材料は大きく2つに分けられ、指で曲げられるやわらかい系統のもの(微結晶性ポリアミド)や、やや硬い系統のもの(ポリカーボネート系)があります。 微結晶性ポリアミドは、柔軟性に富みますが、劣化が早く変形しやすいという欠点があります。一方で、 ポリカーボネート系は硬めなのでヒビなどが入りやすくなります。また、硬いと言っても金属ほどの強度はないので、壊れやすいと言えます。そして、どちらの素材も金属に比べて化学的に脆弱で、唾液などで劣化が進んでしまいます。
もう一つの寿命が短い理由は、修理が困難なことです。どの素材を使用しているかによりますが、変形や大きな破折は基本的に再作成が必要となります。また、修理ができたとしても、数週間かかることもあり、入れ歯がない期間が長くなってしまいます。多くの場合、3年に1回程度の交換が必要とも言われています。しかし、ノンクラスプデンチャーに慣れているクリニックでは、10年以上使用している方もいるので、クリニック選びが重要な入れ歯だと言えるでしょう。
ノンクラスプデンチャーは柔らかく、傷がつきやすい傾向があります。そのため、硬いブラシを使わずに軟らかいブラシで清掃するとよいでしょう。ポリアミド系樹脂の場合はスポンジブラシや綿棒を使用します。歯みがき粉は研磨剤が含まれるため避けたほうがよいでしょう。また、着色しやすいため、色のつきやすい食事の後は早めに水洗いをしてください。煮沸・熱湯消毒は変形の恐れがあるので、やめましょう。そして、口内の汚れや歯石が原因でダメージを受けることがあるので、定期的な歯科クリーニングも必要となります。
ノンクラスプデンチャーの保管方法は、入れ歯洗浄剤の中へ入れておくのが良いでしょう。洗浄剤が入っていないとカビが繁殖することもあるので、注意してください。また、アルカリ性(塩素系)の入れ歯洗浄剤を使用すると、変質、変色したり、ヒビが入ったり、割れることがあるため、こちらも注意が必要です。
ノンクラスプデンチャーは入れ歯だと分かりづらいメリットがありますが、寿命が短いというデメリットがあります。ただ、クリニックの選択をしっかりとして、メンテナンスをしっかりとすれば長持ちする場合もあります。情報を集めてノンクラスプデンチャーの製作が得意なクリニックを選択しましょう。
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